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「税理士法人と税理士事務所の違い」納税者のメリットは?

時事ニュース

最終更新日 2023/04/11

令和4年度税制改正で税理士法の一部が改正され、令和4(2022)年4月1日から施行されています。令和4年度税制改正の大綱では、税理士法人の業務範囲に「後見人等の地位に就き、他人の法律行為について代理を行う業務等」「租税に関する教育その他知識の普及及び啓発の業務」が加わることになりました。ところで、税理士法人と税理士事務所の違いとは?納税者が相談する際のメリットについても解説します。

税理士法人と税理士事務所はどこが違う?

税理士法第48条の2には、税理士法人について以下の文言があります。

税理士は、この章の定めるところにより、税理士法人(税理士業務を組織的に行うことを目的として、税理士が共同して設立した法人をいう。以下同じ。)を設立することができる。
※出典:総務省 電子政府の総合窓口e-Gov『税理士法

つまり、税理士法人とは、「税理士業務を組織的に行うことを目的として、税理士が共同して設立した法人」を指します。一方、税理士事務所に関しては、税理士法第40条に以下の文言が記載されています。

税理士(税理士法人の社員(財務省令で定める者を含む。第四項において同じ。)を除く。次項及び第三項において同じ。)及び税理士法人は、税理士業務を行うための事務所を設けなければならない。
2税理士が設けなければならない事務所は、税理士事務所と称する。
3税理士は、税理士事務所を二以上設けてはならない。
4税理士法人の社員は、税理士業務を行うための事務所を設けてはならない。
※出典:総務省 電子政府の総合窓口e-Gov『税理士法

この2つの条文を比較すると、税理士法人は複数の税理士が「共同で設立した」税理士業務を行うための組織であり、税理士事務所は2つ以上の事務所を設立できない税理士の個人事務所ということになります。

また、中小企業や個人事業の会計・税務を得意とする税理士事務所が「会計事務所」と名乗っている場合もあり、「公認会計士事務所」と混同されがちです。税理士と公認会計士の違いは、税理士の独占業務が「税務業務」、公認会計士の独占業務が「監査業務」で、どちらも国家資格ですが、両方取得することもできます。

税理士が法人化すると、本社事務所のほかにも支店を設立でき、より幅広いエリアでの税務業務に対応できるようになります。また、各支店には1名以上の税理士が常駐しなければいけないため、より多くの専門的な案件に対応できます。並行して行う事務処理業務も増えるため、多くの職員を雇用できる業績や収益が伴っていると見ることができるでしょう。

では、税理士法人と税理士事務所で料金の違いはあるのでしょうか?両者の間に違いはありませんが、個々の費用は異なります。なぜなら、平成14(2002)年の税理士法改正で日本税理士会連合会(税理士法に基づき設立された税理士の全国組織)の報酬規程が廃止され、税理士の報酬費用は自由化されたからです。

税理士選びは価格よりも費用対効果、つまり、相談・依頼したい税務内容に関しての専門知識、どこまで対応してくれるのかなどを基準にしたほうが良いでしょう。また、明確な料金表を予め提示してくれるかどうかも、重要な判断基準となります。

岡野相続税理士法人の料金表は、『税理士報酬/料金』ページでご確認いただけます。

税理士法改正で税理士選びも変わる?!

令和4年度の税理士法改正による注目すべき主な点は、以下の通りです。

●税務業務のICT化とウィズコロナ時代への対応

「IT(Information Technology/情報通信技術)はよく目にするけど、ICTって何?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。ICT(Information and Communication Technology)とは、ITの活用でコミュニケーションをより円滑にし、サービス向上などのために活かすことを意味します。

新型コロナウイルス感染症の拡大で、経済のデジタル化、それに伴うグローバル化も進んできました。税理士業務も、電子申告・納税、電子帳簿、マイナポータルの利活用など、ICT化の推進と納税者の利便向上が求められています。

税理士法第2条の3には、「税理士の業務における電磁的方法の利用等を通じた納税義務者の利便の向上等」が定められており、日本税理士会連合会も令和5(2023)年4月1日に電磁的方法により行う事務に関する規定を会則へ追記し、財務大臣の許可を得ました。

また、前項で触れたように、税理士事務所の税理士は「事務所を2以上設けてはならない」とされ、税理士法人の税理士についても「常駐」の規定があります。そのため、コロナ禍にあっても、税理士のテレワーク化がなかなか進まないという現状がありました。ICT化の推進と並行して、税理士法基本通達が見直しされ、令和5(2023)年4月1日には税理士の働き方の多様化に対応する規定が新設されることとなりました。

納税者にとっても、ウィズコロナの状況下、対面にこだわることなく相談や依頼ができ、より目的に合った専門性の高い税理士を選べる選択肢が広がったと言えるでしょう。

●多様な人材の確保

近年の税理士不足を鑑み、税理士試験の受験資格が見直しされ、資格取得への門戸が広がりました。令和5(2023)年4月1日以後に行われる税理士試験について、以下の改正後の受験資格が適用されます。

改正前
(令和4年度の税理士試験以前)
改正後
(令和5年度の税理士試験以降)
会計学に属する試験科目(簿記論・財務諸表論)の受験資格が 会計学に属する試験科目(簿記論・財務諸表論)の受験資格は不要
大学、短大または高等専門学校を卒業し、法律学または経済学に属する科目を1科目以上履修した者 大学、短大または高等専門学校を卒業し、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
大学3年次以上の学生で法律学または経済学に属する科目を含め 62 単位以上を取得した者 大学3年次以上の学生で社会科学に属する科目を含め 62 単位以上を取得した者
専修学校の専門課程(修業年限が2 年以上かつ課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る)を修了した者等で、法律学または経済学に属する科目を1科目以上履修した者 専修学校の専門課程(修業年限が2 年以上かつ課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る)を修了した者等で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者

●税理士に対する信頼性の向上

脱税への関与など、税理士が税理士法に違反する不正行為をすると、懲戒処分を受けることになります。ところが、懲戒処分がなされる前に税理士をいったん廃業し、改めて税理士資格を取得して事務所を立ち上げるといった「懲戒逃れ」を行う悪質なケースが目立ち始めました。

そこで、「懲戒逃れ」を防止するため、税理士法の「懲戒の手続等」が改められ、「除斥期間」に関する条項が新設されました。懲戒処分を受けた税理士の氏名や処分の種類・事由を財務大臣が公告、税理士業務の禁止処分が決定した者は3年間の業務停止などです。これらの改正は、令和5年4月1日以降の違反行為等について適用されます。

また、冒頭でも触れましたが、税理士法人の業務範囲が拡充されることになりました。令和4(2022)年4月1日の改正施行時点で、税理士法施行規則第21条「税理士法人の業務の範囲」は以下のように定められています。なお、「法第四十八条の五」の「法」とは、税理士法のことです。

法第四十八条の五に規定する財務省令で定める業務は、次に掲げる業務とする。
一 財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務(他の法律においてその事務を業として行うことが制限されているものを除く。)を業として行う業務
二 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、後見人、保佐人、補助人、監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意若しくは取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務
三 租税に関する教育その他知識の普及及び啓発の業務
※出典:総務省 電子政府の総合窓口e-Gov『税理士法施行規則

相続税専門の税理士法人に相談するメリットとは

税務の相談や代行依頼を税理士法人にしたら良いか、税理士事務所にしたら良いかは、正直に申し上げて、あまり重要な問題ではありません。むしろ重視したいのは、税理士の専門税目です。所得税の申告を専門とする税理士に相続税の相談をしても、知識も、経験も不足している可能性があります。

と言うのも、税理士試験は「簿記論」と「財務諸表論」の会計学2科目が必須、「所得税法」または「法人税法」いずれか1科目が必須選択科目、「相続税法」、「消費税法」または「酒税法」、「国税徴収法」、「住民税」または「事業税」、 「固定資産税」から2科目を選択することになっているからです。つまり、「相続税法」については受験していない税理士もいるということです。

相続税に強い税理士を見分けるための決め手となるポイントとして、「不動産の現地調査をしてくれるか」という点が挙げられます。

相続財産のうち、最も多くの評価額を占めるのが「土地」と「家屋」と言った「不動産」です。土地の相続財産評価額は「路線価方式」または「倍率方式」で計算し、「相続税路線価」は国税庁のホームページで確認できます。

しかし、相続財産評価においては「現地調査」も重要です。なぜなら、その土地が路線価地域にあったとしても、土地の形状が特殊な場合や墓地などが近い場合など、路線価の地図上だけではわからないケースもあるからです。「現地調査」を行わずにこれらを見逃すと、払わなくてもよかった相続税まで払い過ぎることになりかねません。

相続財産に不動産が含まれる場合は、「現地調査」を行う税理士なら信頼できると言えるでしょう。必要に応じて、不動産鑑定士や測量士といった不動産の国家資格を持つ専門家と連携して不動産評価を行うことが可能な税理士であれば、なお信頼できるでしょう。

もしも、すでに申告・納税済みの相続税を過払いしてしまったと気づいたら、相続税専門の税理士にセカンドオピニオンを求めることや、申告期限から5年以内であれば、「更正の請求」によって納め過ぎた相続税を取り戻すことも可能です。

相続はいつ発生するかわかりません。たまたま所得税の申告時期にあたった場合、忙しがっている税理士であれば、その税理士の専門は相続税ではなく所得税である可能性が高いでしょう。また、相続に関する実績を積んだ税理士で、それをホームページなどで公開していれば、経験も豊富であることがわかります。

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この記事の監修者

顔写真:税理士 岡野 雄志

税理士岡野 雄志

相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。

相続税の無料相談受付中

写真:岡野雄志税理士事務所

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