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「相続の効力」を遺言の内容を知りえない相続債権者の利益を守るものに

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最終更新日 2022/06/27

「相続の効力」等に関する見直しについて解説します。

相続の効力等に関する見直し

ポイント

法定相続分を超える権利を相続した者は、法定相続分を超える部分について第三者に対抗(権利を主張)するには、登記や登録などの手続きをしていなければなりません。「相続させる」旨の遺言の場合でも対抗要件が必要になります(遺言の効力が絶対でなくなる)。

また、遺言執行者が置かれている場合に、相続人が遺産を処分する等遺言執行を妨げる行為を行った場合、現行法では、誰に対してもその行為の無効を主張することができました。
この点、法改正後は、善意の第三者(財産を処分した相続人が処分する権限を持っていないことを知らない人)に対しては、無効を主張することができなくなります。

※2019年7月1日(月)施行

現行制度

遺言の内容を知りえない相続債権者等の利益を害する。

事例

相続・遺贈により、長男が被相続人所有の不動産を取得することとされた場合

遺言の内容を知りえない相続債権者等の利益を害する現行制度

①の処分の類型 遺産分割 遺贈 相続させる旨の遺言(注)
①と②の優劣 登記の先後 登記の先後 常に①が優先

(注)相続させる旨の遺言による権利の承継は、登記なくして第三者に対抗することができる(判例)

チェック遺言の有無及び内容を知りえない相続債権者・債務者等の利益を害する。
チェック登記制度や強制執行制度の信頼性を害する恐れがある。

改正によるメリット

相続させる旨の遺言についても、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を具備しなければ、債務者・第三者に対抗することができない。
(そのため、遺言がある場合でも、早期に登記を備える手続きを行わないと、相続人の一部が自らの相続登記をして第三者に売却してしまうなどされた場合には対抗できないことになるので、相続開始後早期に手続をする必要があります。)

遺言の有無及び内容を知りえない相続債権者・債務者等の利益や第三者の取引の安全を確保
※登記制度や強制執行制度の信頼を確保することにもつながる

相続法の見直しの経緯

2018年(平成30年)7月に、相続法制の見直しを内容とする「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」と、法務局において遺言書を補完するサービスを行うこと等を内容とする「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立しました。

民法には、人が死亡した場合に、その人(被相続人)の財産がどのように継承されるかなどに関する基本的なルールが定められており、この部分は「相続法」などと呼ばれています。

この相続法については、1980年(昭和55年)に改正されて以来、大きな見直しがされてきませんでした。
一方、この間、我が国における平均寿命は延び、社会の高齢化が進展するなどの社会経済の変化が生じており、今回の改正では、このような変化に対応するために、相続法に関するルールを大きく見直しています。

具体的には、
(1)被相続人の死亡により残された配偶者の生活への配慮等の観点から、
1. 配偶者居住権の創設
2. 婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置

(2)遺言の利用を促進し、相続をめぐる紛争を防止する観点から、
1. 自筆証書遺言の方式緩和
2. 法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設(遺言書保管法)

(3)その他、預貯金の払戻し制度の創設、遺留分制度の見直し、特別の寄与の制度の創設などの改正を行っています。

この記事の監修者

顔写真:税理士 岡野 雄志

税理士岡野 雄志

相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。

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