相続税申告書の提出先は?提出方法や書類の綴じ方は?
相続の発生時
最終更新日 2023/04/12
申告期限がギリギリに迫った場面では、こうしたミスが致命的となってしまうことがあります。そこで今回は、相続税申告書の提出先と、提出方法、書類の綴じ方などについて解説していきます。
相続税申告書は相続人が利用する税務署に提出するの?
相続税申告書の提出先は、相続人の住所地を管轄する税務署に提出するものと思っている人は多いのではないでしょうか。
実際のところ、相続税申告書の提出先は、被相続人が亡くなったときの住所地を管轄する税務署に提出することになっています。そのため、相続人が複数いた場合でも、相続税申告書はすべて同じ税務署に提出することになります。
被相続人が亡くなったときの住所にはこんなケースも
被相続人が自宅や病院で亡くなった場合、その住所は「自宅」であることがほとんどですが、それ以外や、海外に住んでいる人が亡くなったときはどうなるかということについて解説します。
老人ホームで亡くなった場合の相続税申告書の提出先
被相続人が老人ホームに入居されていた場合、入居の際、住民票をその老人ホームの住所に移していることがあります。その場合は、相続税申告書は、老人ホームの住所地を管轄する税務署に提出することになります。
海外で亡くなった場合の相続税申告書の提出先
被相続人が海外で亡くなった場合、相続人が日本に住んでいるか、海外に住んでいるかによって異なります。
相続人が日本に住んでいる(無制限納税義務者の)場合、相続税申告書は、相続人の住所地を管轄する税務署に提出することになります。
相続人が海外に住んでいる(制限納税義務者の)場合、相続税申告書は、納税地を定める税務署に提出することになります。他の相続人が日本に住んでいる場合は、その者の住所に合わせるなどして日本のどこかに納税地を定めることも可能です。
被相続人が国内で亡くなったとき、住所地は被相続人の住民票の除票(抹消された住民票のこと)で確認することができます。
被相続人が海外で亡くなったとき、住所地は在留証明書または死亡証明書で確認することができます。
相続税申告書の提出方法は2パターン
相続税申告書を提出する際は、該当する税務署に「直接持参する」または「郵送する」といった2つの方法があります。
提出の際に注意したいのが申告期限です。そのため、申告期限ギリギリで郵送される方は、特に注意が必要です。ポストに投函すると、タイミングによっては翌日扱いとなり、申告期限を過ぎてしまうことにもなりかねません。
申告期限の消印があれば期限内申告として扱われるので、郵送する場合はポストではなく窓口に提出することをおすすめします。
相続税申告書は「見やすく製本すること」がポイント
相続税申告書は、第1表から第15表に分かれていて、これらの申告書と申告に必要な書類や資料などを合わせて提出するとなると、膨大な枚数となります。
これらの書類を製本しないで提出した場合、税務署側で書類を整理することになるため、申告書の処理に遅れをきたすことになります。相続税申告書と添付の資料を見やすく製本することは、税務署側の処理をスムーズに行えるようにするとともに、税務署からの不要な問い合わせを減らすことにもつながります。
そこで、ここでは、相続税申告書を見やすく製本する方法と注意点について見ていきます。
「相続税申告書」と「添付書類」は分けて製本する
相続税の申告書類を見やすく製本するため、「相続税申告書」と「添付書類」を分けて製本するようにしましょう。続いて、相続税申告書と添付書類それぞれを製本する際のポイントについて見ていきます。
「相続税申告書」は、クリップまたはホッチキスでひとまとめに
相続税申告書は、第1表から第15表までの申告書一式をクリップまたはホッチキスでしっかりと留めて提出します。
ただし、申告書の第1表と第15表では、機械で読み込むOCR様式の書面をあわせて提出しますが、この書面を添付する際、四隅の黒い四角形のマーク部分をホチキスで留めないように注意しましょう。
「添付書類」は、表紙をつけてわかりやすく製本する
相続税申告書の提出時には申告書とあわせて、被相続人や相続人全員の「身分関係」に関する書類、「遺産分割方法」に関する書類、「相続財産」に関する書類などを添付して提出します。
このとき、それぞれの書類がひと目でわかるように表紙をつけることをおすすめします。特に「相続財産」に関する書類は、必要書類が膨大な枚数になるため、表紙をつくり、相続の開始日や、被相続人や相続人の名前を記入しておくとよいでしょう。
表紙の作成はあくまで任意ですが、表紙があるとそれが何の書類かひと目でわかって便利です。
「相続財産」に関する書類の製本
相続する財産によっても必要となる書類は異なりますが、該当する添付書類を分類別に1から9の順番に綴じて製本します。
1 土地に関する書類
- 不動産登記簿謄本
- 固定資産税課税明細書
- 名寄帳(固定資産課税台帳・土地家屋課税台帳)
- 建築計画概要書
- 公図
- 地積測量図
- 住宅地図
- 路線価図・評価倍率表
- 賃貸借契約書
2 建物に関する書類
- 登記簿謄本
- 固定資産税課税明細書
- 固定資産税評価証明書
- 名寄帳(固定資産課税台帳・土地家屋課税台帳)
- 建物図面・各階平面図
- 賃貸借契約書
3 株式関係の書類
- 残高証明書
- 配当金の支払通知書
- 取引明細書
4 現金・預貯金に関する書類
- 残高証明書
- 定期預金証書
- 利息計算書
- 被相続人の通帳・取引履歴
- 現金有高
5 生命保険関係の書類
- 保険金支払通知書
- 保険証券
- 解約返戻金の分かる資料
6 贈与関係の書類
- 贈与契約書
- 贈与税申告書
- 相続時精算課税制度選択届出書
- 非課税申告書
7 その他財産に関する書類
-家庭用財産-
- 家庭用財産の購入時の資料
- 自動車検査証
- 船舶検査証書
- 遺産相続評価賞
-事業用財産-
- 所得税の確定申告書
-退職金-
- 支払通知書
- 退職金手当等受給者別支払調書
-その他-
- 過去の相続税申告書
- 過去の贈与税申告書
- 準確定申告に必要な資料
- 電話番号と所在場所の分かる資料
- 老人ホームの入居関係の資料
- ゴルフ会員権
- リゾート会員権
- 貸付金、前払金に関する借用書等の書類
- 未収の給与、地代、家賃等の契約書、領収書
8 債務費用関係の書類
- 金銭消費賃借契約書
- 借入金の残高証明書
9 葬式費用関係の書類
- 領収書
- お布施や心づけのメモなど
チェックリストで添付資料の提出もれをチェック
相続税申告書の提出時には、添付資料も膨大な枚数になります。こうした添付資料の提出もれを防ぐために、国税庁のHPには「相続税の申告のためのチェックシート」が用意されています。提出前にはこちらのチェックシートで最終チェックされることをおすすめします。
参考:国税庁HP 相続税の申告のためのチェックシート
あわてず丁寧な作業で、見やすい申告書類を作成
あわてて作業するあまり、整理されてない状態で書類を提出したり、書類もれや必要書類に不備があったりすると、税務署から何度も問い合わせを受けるばかりか、心象を悪くしてしまうことにもなりかねません。
必要な書類をわかりやすく整理し製本することで、自分でも不備に気づくことができ、税務署側の処理もスムーズになります。申告期限を気にしながらも、あわてず丁寧な作業で、見やすい書類作成を心掛けてください。
相続税申告について、ご不明点などがある方は、ぜひ相続税専門の税理士にご相談ください。
まとめ
- 相続税申告書の提出先は、被相続人が亡くなったときの住所地を管轄する税務署。
- 相続人が複数いた場合でも、相続税申告書はすべて同じ税務署に提出。
- 被相続人が老人ホームで亡くなった場合は、老人ホームの住所地を管轄する税務署に提出。
- 被相続人が海外で亡くなった場合は、相続人の住所が日本か海外かで対応が異なる。
- 相続税申告書の提出方法は、郵送または直接税務署窓口へ。期限ギリギリの場合は窓口へ。
- 相続税申告書と添付書類は分けて製本。膨大な添付書類には表紙をつけてわかりやすく。
- こうすることで税務署の処理がスムーズに。不要な問い合わせも防げる。
- 提出前にはチェックリストで添付書類の提出もれをチェック。
この記事の監修者
税理士岡野 雄志
相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。
相続税の無料相談受付中
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