相続税早見表と計算例を使って、相続税額を簡単チェック
相続の発生時
最終更新日 2023/04/12
相続税額は何で決まるのか?
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率(限界税率) | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
この速算表で計算し、法定相続人ごとの法定相続分に応じた税額を一旦算出します。
法定相続分と早見表の計算過程
相続税の負担は、配偶者の有無や子どもの人数、いわゆる法定相続人の数によって異なります。
一般に、法定相続人の人数が多ければ多いほど、相続税の基礎控除額が多くなり、相続税額が低くなります。
法定相続人の範囲
法定相続人の範囲は以下の図の通りです。
被相続人(亡くなった方)の配偶者は必ず法定相続人になります。
それ以外の親族には、相続順位があり、
②親(両親が亡くなっていた場合は、祖父母)
③兄弟(兄弟が亡くなっていた場合は甥姪)
の順で、法定相続人が決定されます。
例えば、被相続人に子供がいた場合、子供が法定相続人となり、親や兄弟は法定相続人となりません。
例えば、遺産総額6,000万円で、法定相続人が配偶者1人子供2人の場合(法定相続人は3人)で、法定相続分通りに分割した場合の計算は以下の通りです。
ステップ1.課税財産額を算出
【遺産総額6,000万円】-【基礎控除額(3,000万円+600×3)】=【課税財産額1,200万円】
※課税財産額とは、税金がかかる財産のことを指します。
ステップ2.法定相続分通りに相続したと仮定し、1人1人の課税財産額を算出
【配偶者の課税財産額】1,200万円×1/2=600万円、【子供①の課税財産額】1,200万円×1/2×1/2=300万円、【子供②の課税財産額】1,200万円×1/2×1/2=300万円となります。
ステップ3.それぞれの課税財産額かかる税金の額を算出し合計
先述した相続税速算表を見ながら、それぞれの課税財産額に税金をかけます。
全員、課税財産額は1,000万円以下なので税率は10%です。
それぞれの相続人にかかる税金を合計します。
600万円×0.1+300万円×0.1+300万円×0.1=120万円
ステップ4.配偶者控除を適用
配偶者の法定相続分の財産にかかる税金は控除されます。
120万円-60万=60万円
法定相続分通りに相続財産額を分割した場合には、基礎控除と配偶者控除を適用した場合の1回でかかる相続税総額は60万円ということがわかります。(子供1人30万円×2)
一次相続で、法定相続人が配偶者と、子どもが1人~4人の場合の早見表
配偶者と子供が相続した場合の、法定相続分は、下図の通りです。
配偶者が相続財産額の1/2を相続し、もう1/2を子供たちの人数で分割した数字が法定相続分となります。
一次相続で、法定相続人が配偶者と、子どもが1人~4人の場合の相続税早見表
一次相続とは両親のどちらからが亡くなり、配偶者と子どもが相続人になる場合のことを言います。
個人の相続税負担分は相続財産を取得した割合で変わります。また、配偶者が取得する財産については、相続財産のうちの1/2までor1.6億円までのどちらか多い方にかかる税金分は非課税となります。
下記の相続税早見表は、相続財産を法定相続分で分割し、基礎控除と配偶者控除を適用させた際の、相続税額の総額です。
相続財産額 | 相続税総額 (基礎控除、配偶者の税額軽減適用後) |
|||
---|---|---|---|---|
配偶者と子供 1人 |
配偶者と子供 2人 |
配偶者と子供 3人 |
配偶者と子供 4人 |
|
4,000万円 | – | – | – | – |
5,000万円 | 40万円 | 10万円 | – | – |
6,000万円 | 90万円 | 60万円 | 30万円 | 0万円 |
7,000万円 | 160万円 | 113万円 | 80万円 | 50万円 |
8,000万円 | 235万円 | 175万円 | 138万円 | 100万円 |
9,000万円 | 310万円 | 240万円 | 200万円 | 163万円 |
1億円 | 385万円 | 315万円 | 263万円 | 225万円 |
1.5億円 | 920万円 | 748万円 | 665万円 | 588万円 |
2億円 | 1,670万円 | 1,350万円 | 1,218万円 | 1,125万円 |
2.5億円 | 2,460万円 | 1,985万円 | 1,800万円 | 1,688万円 |
3億円 | 3,460万円 | 2,860万円 | 2,540万円 | 2,350万円 |
4億円 | 5,460万円 | 4,610万円 | 4,155万円 | 3,850万円 |
5億円 | 7,605万円 | 6,555万円 | 5,963万円 | 5,500万円 |
二次相続で、法定相続人が、子ども1人~4人の場合の早見表
子供が相続した場合の、法定相続分は、下図の通りです。
子供たちの人数で、均等に分割した数字が法定相続分となります。
二次相続は、一次相続後で残された配偶者も亡くなった時の相続のことを言います。
相続財産額 | 相続税総額 (基礎控除適用後) |
|||
---|---|---|---|---|
子供 1人 |
子供 2人 |
子供 3人 |
子供 4人 |
|
4,000万円 | – | – | – | – |
5,000万円 | 160万円 | 80万円 | 20万円 | – |
6,000万円 | 310万円 | 180万円 | 120万円 | 60万円 |
7,000万円 | 480万円 | 320万円 | 220万円 | 160万円 |
8,000万円 | 680万円 | 470万円 | 330万円 | 260万円 |
9,000万円 | 920万円 | 620万円 | 480万円 | 360万円 |
1億円 | 1,220万円 | 770万円 | 630万円 | 490万円 |
1.5億円 | 2,860万円 | 1,840万円 | 1,440万円 | 1,240万円 |
2億円 | 4,860万円 | 3,340万円 | 2,460万円 | 2,120万円 |
2.5億円 | 6,930万円 | 4,920万円 | 3,960万円 | 3,120万円 |
3億円 | 9,180万円 | 6,920万円 | 5,460万円 | 4,580万円 |
4億円 | 14,000万円 | 10,920万円 | 8,980万円 | 7,580万円 |
5億円 | 19,000万円 | 15,210万円 | 12,980万円 | 11,040万円 |
法定相続人が、配偶者と直系尊属(親)だった場合の早見表
配偶者と直系尊属が相続した場合の、法定相続分は、下図の通りです。
配偶者が2/3を相続し、残りの1/3を直系尊属の人数で、均等に分割した数字が法定相続分となります。
法定相続人が配偶者と直系尊属(両親)の場合の早見表
配偶者の相続分を3分の2とした場合の早見表です。
相続財産額 | 相続税総額 (基礎控除、配偶者の税額軽減適用後) |
|
---|---|---|
配偶者と 親1人 |
配偶者と 親2人 |
|
4,000万円 | – | – |
5,000万円 | 27万円 | 7万円 |
6,000万円 | 63万円 | 40万円 |
7,000万円 | 108万円 | 81万円 |
8,000万円 | 157万円 | 126万円 |
9,000万円 | 210万円 | 170万円 |
1億円 | 271万円 | 222万円 |
1.5億円 | 660万円 | 583万円 |
2億円 | 1,131万円 | 1,004万円 |
2.5億円 | 1,742万円 | 1,544万円 |
3億円 | 2,353万円 | 2,100万円 |
4億円 | 3,704万円 | 3,327万円 |
5億円 | 5,158万円 | 4,662万円 |
法定相続人が直系尊属(両親)のみの場合
相続財産額 | 相続税総額 (基礎控除適用後) |
|
---|---|---|
親1人 | 親2人 | |
4,000万円 | – | – |
5,000万円 | 160万円 | 80万円 |
6,000万円 | 310万円 | 180万円 |
7,000万円 | 480万円 | 320万円 |
8,000万円 | 680万円 | 470万円 |
9,000万円 | 920万円 | 620万円 |
1億円 | 1,220万円 | 770万円 |
1.5億円 | 2,860万円 | 1,840万円 |
2億円 | 4,860万円 | 3,340万円 |
2.5億円 | 6,930万円 | 4,920万円 |
3億円 | 9,180万円 | 6,920万円 |
4億円 | 14,000万円 | 10,920万円 |
5億円 | 19,000万円 | 15,210万円 |
法定相続人が配偶者と兄弟姉妹で、人数が1人~3人の場合の早見表
兄弟姉妹が相続した場合の、法定相続分は、下図の通りです。
配偶者が3/4を相続し、残りの1/4を兄弟姉妹の人数で、均等に分割した数字が法定相続分となります。
相続財産額 | 相続税総額 (基礎控除、配偶者の税額軽減適用後) |
||
---|---|---|---|
配偶者と 兄弟姉妹1人 |
配偶者と 兄弟姉妹2人 |
配偶者と 兄弟姉妹3人 |
|
4,000万円 | – | – | – |
5,000万円 | 24万円 | 6万円 | – |
6,000万円 | 59万円 | 36万円 | 27万円 |
7,000万円 | 101万円 | 76万円 | 75万円 |
8,000万円 | 142万円 | 117万円 | 131万円 |
9,000万円 | 195万円 | 161万円 | 188万円 |
1億円 | 251万円 | 213万円 | 257万円 |
1.5億円 | 626万円 | 563万円 | 717万円 |
2億円 | 1,089万円 | 999万円 | 1,281万円 |
2.5億円 | 1,620万円 | 1,505万円 | 1,956万円 |
3億円 | 2,183万円 | 2,016万円 | 2,735万円 |
4億円 | 3,410万円 | 3,162万円 | 4,399万円 |
5億円 | 4,757万円 | 4,422万円 | 6,242万円 |
相続人が兄弟姉妹(姪甥を含む)のみで人数が1人または3人の場合の早見表
兄弟姉妹が相続した場合の、法定相続分は、下図の通りです。
兄弟姉妹の人数で、均等に分割した数字が法定相続分となります。
相続財産額 | 相続税総額 (基礎控除適用後) |
||
---|---|---|---|
兄弟姉妹1人 | 兄弟姉妹2人 | 兄弟姉妹3人 | |
4,000万円 | – | – | – |
5,000万円 | 192万円 | 96万円 | 24万円 |
6,000万円 | 372万円 | 216万円 | 144万円 |
7,000万円 | 576万円 | 384万円 | 264万円 |
8,000万円 | 816万円 | 564万円 | 396万円 |
9,000万円 | 1,104万円 | 744万円 | 576万円 |
1億円 | 1,464万円 | 924万円 | 756万円 |
1.5億円 | 3,432万円 | 2,208万円 | 1,728万円 |
2億円 | 5,832万円 | 4,008万円 | 2,952万円 |
2.5億円 | 8,316万円 | 5,904万円 | 4,752万円 |
3億円 | 11,016万円 | 8,304万円 | 6,552万円 |
4億円 | 16,800万円 | 13,104万円 | 10,776万円 |
5億円 | 22,800万円 | 18,252万円 | 15,576万円 |
相続税の計算方法
相続税は、消費税のように「遺産の〇%」と単純に計算できるものではありません。というのも、一度「被相続人の財産全体にかかる相続税を総額」を計算した上で、実際の相続割合で分割し、「各相続人が納税する相続税額」を計算するという過程を踏みます。
次の4つのステップに分けて計算順序を紹介します。それに従えば、自分で計算することも可能です。
ステップ1「純資産価額」を算出する
相続税を知るためには、課税対象になる財産を把握することが必要です。
課税対象となるのは、
- 現金
- 預貯金
- 株式
- 債券等の有価証券
- 土地/建物などの不動産
- 書画骨董等亡くなった人が所有していた財産
- 死亡保険金/死亡退職金などの「みなし相続財産」(ただし非課税枠あり)
- 相続開始前3年以内に贈与された財産
- 相続時精算課税制度を適用して贈与された財産
- 名義貯金、名義保険
などです。
これらの課税対象となる財産から、非課税財産と、債務・葬式費用など差し引きます。
非課税になるのは、
- 死亡保険金や死亡退職金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額
です。また、小規模宅地の特例を適用する場合は、ここで控除します。
ステップ2「遺産に係る基礎控除額を算出する」
基礎控除額の計算式
ステップ3「課税遺産総額を求める」
課税遺産総額の計算式
課税遺産総額が相続税の課税対象となります。課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた値が0かマイナスの場合、相続税の課税はされないため、税務署に申告する必要もありません。ただし、小規模宅地の特例の適用前に課税遺産総額がプラスになる場合(小規模宅地の特例適用前の純資産価額が、基礎控除を上回る場合は申告が必要です。)
ステップ4「相続人全員で納める相続税の総額を計算」
実際に遺産をどのように分けたのかに関係なく、法定相続分の割合で課税遺産総額を按分し、各相続人の仮の税額を計算します。この合計が、相続人全員で納める相続税の総額です。
- 課税遺産総額×法定相続分=各法定相続分に応じた取得金額…イ
- 各法定相続人の算出税額=イ× 速算表に示す税率 -速算表に示す控除額
- 相続税の総額=各法定相続人の算出税額を合計
ステップ5_相続人ごとの納付税額を計算
相続人全員で納める相続税の総額が分かったら、実際に遺産を分けた割合に応じて各相続人に割り振ります。
各相続人の個別の事情に応じて税額の加算や控除を行います。
- 配偶者と1親等の血族以外の相続人(法定相続人以外で遺産をもらった人も含む)の税額は2割加算です。
- 相続人ごとの納付税額を求めます。各人の相続税を算出する際、2割加算も行います。配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除などを適用していきます。
早見表の活用法と注意点
早見表の利点は、一目で税率などが確認できることにあります。ただし、実際は相続人の構成や相続の分割割合で変化するため、いずれも目安のひとつとして考えておきましょう。
まとめ
相続税の算出早見表で相続時、自分がどれくらい相続税を支払うのかを前もって知っておくことは極めて大切です。とはいえ、早見表で確認できる金額は目安であり、実際の金額とは異なります。正確な金額を把握するのなら、相続税の経験豊かな税理士に依頼することが一番の近道といえるでしょう。
相続が発生してから10か月以内に、相続税の申告と納付を行わなければなりません。
また、相続税の節税などについても相談も受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
税理士岡野 雄志
相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。
相続税の無料相談受付中
岡野雄志税理士事務所は、ご相談やご契約の99%以上が相続税の国内でも数少ない相続税を専門に取り扱う税理士事務所です。
- 創業17年、相続税一筋! 専門性の高さが特徴です。
- 業界屈指の相続税の還付実績。1,783件の相続税を取り戻しています。
- 相続税の還付実績が証明する財産評価の高度な専門知識と豊富な経験。
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