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「18歳から成人」民法改正は相続税・贈与税にどう影響する?

時事ニュース

最終更新日 2022/06/17

内閣府による政府広報が、人気アニメ『東京リベンジャーズ』とのタイアップであることも話題を呼んだ、成年年齢の引き下げ。令和4(2022)年4月1日より、これまで20歳だった成年年齢が18歳へと変わりました。この民法の一部改正に伴い、国税である相続税や贈与税も税制改正されました。どこが変わったのか、いつから変わるのか、ポイントを解説します。

成年年齢18歳で何が変わる?何が変わらない?

民法の成年年齢引き下げに先立ち、平成28(2016)年には選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられています。これは、少子高齢化が進む日本で、若い世代にも国の行く末を決める政治に関与してほしいという意図によるものです。また、世界的にも成年年齢18歳が主流であることから、国民の社会生活に関わる民法においても、18歳以上を成人とすることになりました。

年齢の計算方法を定める日本の法律「年齢計算ニ関スル法律」では、出生日を初日に算入することになっています。例えば、平成16(2004)年4月1日生まれの人は、令和4(2022)年4月1日0時(前日の3月31日24時)をもって満18歳になるということです。

平成14(2002)年4月1日以前が出生日の人は、20歳の誕生日をもって成人となりますが、令和4(2022)年4月1日に18歳・19歳である人は、この日から成人です。また、2004年4月2日以降が出生日の人は、18歳の誕生日に成人します。

成人すると、未成年のときと何が変わるのでしょうか。民法では、第818条に「成年に達しない子は、父母の親権に服する」と定められています。つまり、未成年は父母(養親を含む)の保護下にありますが、成人すれば親の同意を得なくとも自分の意思で決定し、自ら実行できるようになるということです。

18歳からできるようになること(例)

  • 進学や就職など自己の進路の決定
  • 税理士、公認会計士、司法書士、行政書士、薬剤師などの資格取得
  • 自身の国籍や居住地の選択・決定
  • ひとり暮らしする部屋などの賃貸借契約
  • 10年有効のパスポート取得
  • 携帯電話の契約
  • クレジットカード作成
  • 高額商品購入の際のローン契約
  • 民生委員、児童委員、人権擁護委員などへの就任
  • 性別取り扱い変更審判の申し立て
  • 民事裁判訴訟

なお、これまでの民法では第731条に「男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない」と定められてきましたが、「婚姻は、18歳にならなければ、することができない」と改められました。この改正に伴い、第753条の「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす」という「婚姻による成年擬制」は削除されました。

●従前通り20歳からできるようになること(例)

  • 飲酒・喫煙
  • 競馬・競輪・競艇などの公営ギャンブル
  • 国民年金の納税義務 ※「学生納付特例制度」の場合を除く
  • 養子縁組の養親

もちろん、成人して得られる「権利」もあれば、大人としての社会的責任を果たすという「義務」もあります。義務を果たさず、法を犯せば、法に則って処罰されます。民法改正と同時に、少年法も改正され、令和4(2022)年4月1日より施行されました。18歳・19歳を特定少年とし、その事件が起訴された場合(略式を除く)、犯人の実名・写真等の報道が解禁されることなどが新たに定められています。なお、少年法による「少年」とは、20歳に満たない者をいいます。

18歳から遺産分割協議への参加や相続放棄も

納税も日本国憲法第30条に定められた「国民の義務」です。相続税は国庫に納める国税の一つで、国税は中央税ともいわれます。成年年齢の引き下げによって相続のあり方も変わり、相続税法の税制も一部改正されました。相続に関する主な変更点は以下となります。

●遺産分割協議

未成年は法律行為を行うことができないため、これまではたとえ法定相続人であっても20歳未満の未成年は「遺産分割協議」に加わることはできず、特別代理人を立てなければいけませんでした。しかし、成年年齢の引き下げによって18歳・19歳の相続人も「遺産分割協議」に参加でき、自分の意思や意見を発言できるようになりました。
※遺産分割協議について詳しくは、『【遺産相続とは】税金・手続き・相続順位に関してわかりやすく解説!』『遺産を誰がどれだけ相続するか「遺産分割に関する書類」を詳しく説明』のコラムもご参照ください。

●相続放棄

相続権の一切を放棄する「相続放棄」も法律行為に当たるので、これまでは20歳未満の場合、法定代理人または特別代理人が手続きを行わなければいけませんでした。しかし、改正後は18歳・19歳の相続人なら、自ら「相続放棄」の手続きを行えるようになりました。

※相続放棄について詳しくは、『相続放棄とは?手続き必要書類、デメリット、期限延長方法!』のコラムもご参照ください。

●未成年者税額控除

相続税には「未成年者控除」があり、未成年者の相続人がいる場合、相続税額から一定額を差し引くことができます。改正前は満20歳になるまでの年数で計算されましたが、改正後は満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算されます(1年未満の期間がある場合は1年に切り上げ)。「未成年者控除」の適用条件は以下となります。

  • 18歳未満の法定相続人
  • 原則として相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人

なお、改正前に「未成年者控除」を受けたことがあり、次の相続発生が改正後で相続人が未成年である場合、2回目以降の「未成年者控除」による控除額は減額されます。改正後2回目以降は、改正前の控除できる額からすでに受けた控除額を差し引いた額が控除額となります。

●公正証書遺言の証人・遺言執行者

公正証書遺言を作成する際には2名の証人の立会いが必要です。また、遺言書の内容が実現されるよう、手続きを行うのが遺言執行者(遺言執行人)です。いずれもやはり法律行為ですから、改正前は20歳未満ではなることができませんでしたが、改正後は18歳以上であれば遺言の証人や遺言執行者どちらにもなれます

●養子縁組・非嫡出子の認知

養子は実子と同様に第1順位の相続人となることができます。成年年齢引き下げ以降は、養子となる人が18歳以上の成人であれば、家庭裁判所の許可は不要です。

また、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた非嫡出子は、その父または母から認知されていれば相続権があります。成人の子を認知する場合は、その子本人の承諾が必要ですから、18歳以上であれば本人が承諾しなければ認知はできません。

特例税率や贈与特例の適用年齢も下がる

成年年齢の引き下げは、贈与税にも影響します。18歳から成人とされることで、贈与税の特例なども今までより2年早く利用できるわけですから、相続税対策としての生前贈与に関してはメリットが多いかもしれません。

●特例税率(暦年課税)

生前贈与の方法として最もよく知られるのが「暦年贈与」です。贈与税の課税方式として「暦年課税」が用いられるのですが、贈与があった年の1月1日~12月31日の年間贈与額から110万円の基礎控除額を差し引いた額に贈与税が課税されます。

その際、贈与税率として「一般税率」または「特例税率」を用いて税額を計算します。「一般税率」は兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用し、「特例税率」は祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。

つまり、受贈者が18歳以上の成人なら「特例税率」となり、贈与額によっては「特例税率」のほうが税率は低くなります。例えば、基礎控除後の贈与額が600万円だとすると、「一般税率」なら贈与税額は115万円となりますが、「特例税率」なら90万円です。

<一般贈与財産用>(一般税率)

<特例贈与財産用>(特例税率)
※出典:国税庁『No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)』

●相続時精算課税

「相続時精算課税」とは、受贈者が受け取る贈与額が2,500万円までなら贈与税が非課税となり、贈与者の相続開始時にその贈与財産価額と相続財産価額とを合計した金額から相続税額を計算し、一括して相続税として納税するという課税方式です。これまで受贈者である子または孫の年齢は20歳以上でしたが、改正後は18歳以上となりました。対象者は、原則として以下の要件となります。

  • 贈与者:贈与年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母(直系尊属)
  • 受贈者:贈与年1月1日において18歳以上の子または孫

※相続時精算課税については、『「相続時精算課税制度」を利用した相続税対策とは?』のコラムもご参照ください。

●直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

令和4年度税制改正の大綱で、令和5(2023)年12月31日まで2年間の延長が発表され、注目を集めたこの制度。その一方で、非課税限度額は縮小されましたが、成年年齢の引き下げにより、受贈者は18歳からこの非課税枠が利用できるようになりました。

※最新の詳しい要件については、国税庁『No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税』でご確認ください。

●直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

こちらの制度は、令和3年度税制改正で延長が決定し、平成27(2015)年4月1日~令和5(2023)年3月31日の間に結婚・子育て資金に充てるため、贈与を受けた人が贈与税の非課税枠を利用できる制度です。こちらの制度も成年年齢の引き下げにより、受贈者の対象年齢が18歳からとなりました。

※詳しい要件については、国税庁『No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税』でご確認ください。

今回の成年年齢の見直しは、明治9(1876)年の太政官布告以来、実に約140年ぶりとなります。今後の相続税対策を考える上でも大きな変化となりますが、迷った場合は相続税法に詳しい相続税専門の税理士にご相談されることをおすすめします。当税理士事務所では、相続税申告や相続税対策の依頼を検討しているお客様対象に、無料相談やWEB相談もございますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者

顔写真:税理士 岡野 雄志

税理士岡野 雄志

相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。

相続税の無料相談受付中

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