「相続の発生時」
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「準確定申告の電子申告」e-Tax手続き手順ガイド。

相続の発生時

最終更新日 2023/04/12

準確定申告とは、確定申告が必要な被相続人が、確定申告をしないまま年の途中で亡くなった場合、その年の所得税・消費税等の申告を相続人が代わって行うことです。令和2(2020)年度分からe-Taxによる電子申告が可能になりました。期限、必要なソフト、添付書類、書き方、委任状などについて、手順を追ってわかりやすくご説明いたします。

準確定申告の電子申告による手続き方法

平成30(2018)年度の税制改正により、令和2(2020)年分以降の準確定申告が電子申告できるようになりました。所得税・復興特別所得税、相続税、贈与税、法人税、地方法人税、消費税(地方消費税を含む)、復興特別法人税、酒税の申告および納税がe-Taxで可能です。

国税庁のe-Taxはパソコンからも、スマホからも申告できます。
手順を追って電子申告による準確定申告の手続き方法をご説明します。

「準確定申告とは」については、以下のサイトもご一読ください。

手順(1) 準確定申告が必要な場合と期限を確認

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの所得税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までの間に申告・納税を行う決まりになっています。

けれど、事業所得や不動産所得のある被相続人が確定申告しないまま年の途中で亡くなってしまった場合は、相続人が準確定申告を行わなければいけません。もちろん、被相続人に確定申告が必要な所得がなければ、準確定申告も必要ありません。

国税庁の『確定申告が必要な方』をチェックして、被相続人が確定申告の必要な方だったかどうか確認しましょう。

次に期限の確認です。確定申告期間は原則的に翌年2月16日から3月15日までとなっていますが、準確定申告は違います。
準確定申告の期限は相続発生日(被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から4ヵ月以内です。

また、例えば、被相続人が1月1日から3月15日までの間に亡くなって、前年の確定申告をしていない場合はもっと大変です。前年分の所得税と本年分の所得税、2回分の準確定申告が必要になってしまいます。

手順(2) 電子証明書の取得

4ヵ月という短い期間の中で手続きしなければいけない準確定申告。税務署に足を運ばずに済む電子申告はやはり便利です。ただし、準確定申告書の作成は、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーからはできません。

e-Taxソフトをインターネット環境のあるご自宅のPCなどにダウンロードして利用することになりますが、その前にいくつか準備が必要です。

まず、本人確認を行うため、マイナンバーカードに組み込まれている「公的個人認証サービスに基づく電子証明書」などの電子証明書を取得する必要があります。電子証明書の発行機関は以下となります。

発行機関 電子証明書の種類 サイトURL
地方公共団体情報システム機構 「公的個人認証サービス」に係る電子証明書 ※マイナンバーカードの交付が必要です。 マイナンバーカード交付申請 – マイナンバーカード総合サイト
商業登記認証局 商業登記に基づく電子証明書(商業登記電子証明書)※日本電子認証株式会社法人認証カードサービス含む 商業登記に基づく電子認証制度|法務省
株式会社帝国データバンク TDB電子認証サービス Type Aに係る認証局が作成する電子証明書 TDB電子認証サービス TypeA | 帝国データバンク[TDB]
東北インフォメーション・システムズ株式会社 TOiNX電子入札対応認証サービスに係る認証局が作成する電子証明書 電子入札対応電子証明書発行サービス|TOiNX.CERT
日本電子認証株式会社 AOSignサービスG2に係る認証局が作成する電子証明書 NDN:AOSignサービス(電子入札コアシステム対応の電子認証サービス)|日本電子認証株式会社
株式会社NTTネオメイト e-Probatio PS2サービスに係る認証局が作成する電子証明書 e-Probatio NTTネオメイトの電子認証サービス
セコムトラストシステムズ株式会社 セコムパスポート for G-IDに係る認証局が作成する電子証明書 電子申請|セコムパスポート for G-ID【セコム】
三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 DIACERTサービスに係る認証局が作成する電子証明書
DIACERT-PLUSサービスに係る認証局が作成する電子証明書
三菱電機インフォメーションネットワーク :DIACERT-PLUSサービス(電子入札用電子証明書)
地方公共団体組織認証基盤(LGPKI) 地方公共団体(LGPKI)の認証局が作成する電子証明書
※第四次LGPKI(LGPKI組織認証局R2)発行のペンティオ社のUSBトークンも利用可能
地方公共団体組織認証基盤(LGPKI)
政府共用認証局(官職認証局) 政府共用認証局(官職認証局)が作成する電子証明書 官職認証局

別途、ICカードリーダライタとそれを使用するための専用ソフトが必要になる場合があります。詳しくは、ご利用の電子証明書の発行元に確認してください。

手順(3) 開始届出書の提出と利用者識別番号等の取得

次に、電子申告・納税等開始(変更等)届出書(略して開始届出書)を、事前に納税する所轄の税務署に提出します。

e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」からオンラインで開始届出書を提出(送信)し、利用者識別番号等についてもオンラインで取得することができます。

開始届出書を書面で税務署に提出した場合は、後日、税務署から書面で利用者識別番号等が通知されます。

手順(4) e-Taxソフトのダウンロード

利用者識別番号等が届いたら、いよいよe-Taxソフトのダウンロードです。

パソコンの場合は、国税庁『e-Taxソフトについて』をよくお読みいただき、手順に従ってインストールします。

スマホの場合は、国税庁『e-Taxアプリについて』をよくお読みいただき、手順に従ってインストールします。iPhoneをお持ちの方は、『iPhone(iPhone 7以降)からマイナンバーカードの読み取りが可能になりました。』もお読みください。

手順(5) 付表を添えて税務署に申告書を送信

利用者識別番号等をオンラインで取得していない方は、e-Taxに初めてログインする際は、暗証番号の変更が必要になります。また、納税用確認番号の登録や電子証明書の登録などが必要です。

準確定申告書をe-Taxで提出する場合には、以下の書類の提出が必要です。

番号 提出書類 提出方法
(1) 所得税及び復興特別所得税の準確定申告書 ※1 e-Tax(XML形式)
(2) 死亡した者の令和_年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表 ※1 e-Tax(XML形式)
(3) 準確定申告の確認書(PDF/77KB) ※2 e-Tax(PDF形式)
(4) 委任状 ※3 書面

※1 (1)準確定申告書をe-Taxで提出する場合は、相続人が1名の場合でも必ず(2)付表をe-Tax(XML形式)で提出する必要があります。

※2 相続人が2名以上いる場合は、各相続人が申告内容等を確認した上で、自署で署名・捺印した(3)確認書のイメージデータ(PDF形式)をe-Taxで送信する必要があります。

※3 相続人が2名以上いる場合で、相続人代表が、その他の相続人が受け取るべき還付金を代表して受け取る場合には、各相続人が申告内容や還付額等を確認した上で、自署で署名・捺印した(4)委任状を書面で提出する必要があります。

(注) 所得の種類等によっては、上記の書類に加え、その他の書類の提出が必要となる場合があります。

国税庁『所得税及び復興特別所得税の準確定申告のe-Tax対応について』より抜粋
※丸数字は()付き数字に差し替えています。

申告書の提出先(送信先)は、被相続人の死亡当時の納税地を管轄する税務署となっています。

尚、相続人が複数いて、相続人代表がe-Taxで送信する場合は、申告を行う相続人代表本人の電子証明書の添付が必要です。ほかの相続人など、相続人代表以外の電子証明書の添付はできません。

電子申告も税理士・税理士法人が代行できます

もちろん、税理士・税理士法人もe-Taxによる電子申告が可能です。税制改正により、税理士・税理士法人が納税者の申告等データを作成し、送信する場合、税理士の電子署名等のみで送信が可能になりました。

相続人が複数名いる場合も、税理士が代理送信する際は、税理士の電子証明書を添付することで、相続人代表の電子証明書の添付を省略できます。

申告
(申請)者
送信者 所得税
徴収高計算書
納付情報
登録依頼(納税)
納税証明書
の交付請求
左記以外の
申告、申請・届出
納税者本人 納税者本人 不要 不要 要(※1)
関与先
納税者
税理士 不要
(電子納税は本人のみが可能)
不要
(電子納税は本人のみが可能)
要(※1)
(手数料納付及び交付は本人のみ)
(※2)
納税者本人の電子署名の省略が可能

※1 納税証明書の交付請求(署名省略分)を利用される場合は、電子証明書の添付は不要です。
※2 税務署窓口での受取の場合は、代理人の方も受け取ることができます。 代理人の方が来署される場合には、ご本人(法人の場合は代表者)からの委任状(ご家族、従業員の方が来署される場合も必要です。)と運転免許証など代理人本人であることが確認できる本人確認書類が必要です。

国税庁『e-Taxで申告等データを送信する際の電子署名等の一部省略について』より抜粋

税理士による代理送信に委任状は必要ありません

委任状が必要になるのは、法人の代表者に代わって自社の役員や社員・職員が代理で申請を行うケースです。電子申請の場合は、電子委任状となります。

税理士が納税者に代わって申告書の作成や代理送信を行う際は、委任状は必要ありません。ただし、事前に「電子申告に係る利用者識別番号等の利用同意書」を納税者と取り交わすこととなっています。

「利用同意書」は義務ではありません。申告が書面で行われる場合なら、署名・捺印を納税者にお願いする際に書類をご確認いただけます。ですが、代理送信の場合、その工程が省略されるので、万が一、後で「そんな申告なんて知らない」などと事後否認されてしまうトラブルを避けるためです。

新型コロナの影響で相続手続きにもウェブ化の波

新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、人が集まる三密を避けるため、非対面によるウェブサービスが急速に普及しています。これまでは対面が主流だった大手信託銀行も、インターネットによる遺産相続手続きの代行サービスをスタートしました。

税金の申告や納税に関しても、政府によるデジタル化推進も相まって、今後は非対面によるウェブ手続きが浸透していくものと思われます。特に相続税は比較的アナログな部分が多かったのですが、今後はデジタル化が進んでいくことでしょう。

当税理士事務所でも、ウェブを活用したWEB/電話面談をご用意しております。電話やオンライン面談と郵送だけで相続税申告を代行するサービスです。どうぞお気軽にお問い合わせください。

当税理士事務所のWEB/電話面談に関して詳しくは

相続税申告サービス

この記事の監修者

顔写真:税理士 岡野 雄志

税理士岡野 雄志

相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。

相続税の無料相談受付中

写真:岡野雄志税理士事務所

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