「相続の発生時」
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相続で詐欺行為!?対処法や注意点を解説。

相続の発生時

最終更新日 2023/04/12

身近な人物が亡くなった場合、相続人たちで遺産分割協議を行い、それぞれ相続分を分け合います。ところが、遺産分割協議などの段階で、相続人の中の誰かが遺産を隠すなどといった詐欺行為が起こることがあります。相続時に実際に詐欺行為があった場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
そこで、今回は、遺産相続で起こり得る詐欺行為について、対処法や注意点などについて解説します。

遺産相続で起こり得る詐欺とは

お札振り込むイメージ
遺産相続で起こる詐欺行為にはどんなものがあるのでしょうか。その代表的なケースを紹介します。

遺産を隠された

他の相続人たちと遺産分割協議をする際、ある相続人が遺産の一部を隠してしまうケースがあります。
例えば、親が亡くなり、兄弟で遺産を分割する際、親と同居していた兄が遺産の一部を隠して遺産分割をした場合など。この場合、相続分が減るため弟が損をすることになります。

遺言書を偽造または破棄された

ある相続人が自分に有利になるように、被相続人になりすまし在りもしない遺言書を作成したり、あるいは被相続人が残した遺言書を破棄したりしてしまうケースがあります。

ほかにも、不動産などの売却価格に嘘をついたり、多額の生前贈与を受けていたことを隠したりするケースなどが見受けられます。

詐欺行為を働くと

遺産相続時に詐欺などの不正行為を働いた場合、「相続欠格(そうぞくけっかく)」となることがあります。

相続欠格とは

相続欠格は民法891条に定められている制度で、以下の相続欠格事由にひとつでも該当する場合、法律上、相続人の資格が剥奪されます。

〈相続欠格事由〉

  • (1)故意に被相続人、または先順位もしくは同順位にある者を死亡させようとして刑に処せられた場合(民法891条1号)
  • (2)被相続人が殺害されたことを知っていたのに、告訴、告発をしなかった場合。ただし、その者に是非の弁別がない場合、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族(子、孫、親、祖父母)であった場合は例外とする。
  • (3)詐欺または脅迫により、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消・変更することを妨げた場合(民法891条3号)
  • (4)詐欺または脅迫により、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更させた場合(民法891条4号)
  • (5)相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合(民法891条5号)

相続欠格になると相続人としての権利を失うだけでなく、遺贈についても受け取ることができなくなります。ただし、相続欠格になった相続人に子どもがいる場合には、相続欠格になった親に代わって子どもが相続人になる(代襲相続する)ことができます。

相続欠格事由からもわかるように、相続欠格は滅多に起こるものではありません。もっと身近なケースとして、相続人の相続権を失わせる制度に「相続廃除(そうぞくはいじょ)」があります。

相続廃除とは

詐欺行為を働いた相続人に対して、強制的に相続権を剥奪する相続欠格に対して、相続廃除は、「さんざん親不孝を働いてきた子どもに財産を渡したくない」など、被相続人が特定の相続人に財産を渡したくないと考えた場合に、相続人の権利を失わせることができる制度です。

相続廃除の対象となるのは、遺留分を有する推定相続人のみ。遺留分が認められていない兄弟・姉妹には、相続廃除することができません。その為、兄弟姉妹に財産を渡したくなければ、遺言で他の者に遺贈する等の対処が必要です。

また、相続廃除も、相続権を失った相続人に子どもがいる場合、親に代わって子どもが代襲相続することができます。

詐欺行為をされた場合の対処法とは

ここでは、相続時や相続税申告後に詐欺行為が判明した場合の対処法を紹介します。

遺産分割協議の取り消しを通告

他の相続人に騙されていた場合(詐欺に当たる場合)、遺産分割の取り消しが認められる可能性が高いと考えられます。
遺産分割を取り消すためには、他の相続人や包括受遺者全員に取り消しの意思表示をしてもらう必要があります。その場合、取消権を行使したという証拠を残すため、内容証明郵便を利用して通知するのが一般的とされています。

包括受遺者とは

遺贈の対象となる財産を特定せずに、プラスの財産も借金などマイナスの財産も包括的に継承する遺贈(包括遺贈)を受けた人のことを包括受遺者といいます。
被相続人の権利義務を包括的に継承することから、包括受遺者は、相続において相続人と同一の権利を持つため、相続人たちとともに遺産分割協議を行うことになります。

他の相続人や包括受遺者が取り消しに応じないときは

他の相続人や包括受遺者が遺産分割の取り消しに応じない場合は、裁判所に「遺産分割無効確認訴訟」を提起して争います。
こうしたときのためにも、遺産分割協議に関する議事録やメッセージなどを証拠として保存しておくといいでしょう。

取消権の消滅時効は5年

詐欺行為に基づく意思表示の取消権は、追認できる時(詐欺行為を知った時)から5年が経過すると時効によって効力が消滅してしまいます(民法126条1文)。
もし遺産分割で騙されたと感じた場合には、取消権の消滅時効が消滅する前に、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
また、詐欺行為による取り消しが認められる場合でも、一度遺産分割の意思表示を追認してしまうと、その時点で取消権が消滅してしまいます。

相続で詐欺にあった際の注意点

遺産分割協議が取り消された場合、もう一度やり直すことになりますが、その際すでに相続した遺産が第三者に売却されていることがあります。
第三者が、遺産分割協議が詐欺であったことを知らずに購入している場合、売却された財産は取り戻すことができないことを覚えておいてください。

還付金制度を装った詐欺にもご注意を!

相続税申告を、相続税が専門ではない税理士に任せたり、自分で申告した場合、相続税を払い過ぎてしまうことがあります。一度納めてしまった相続税でも、定められた期限内に税務署に更正の請求をし、その更正が認められた場合、相続税の還付金を受け取ることができます。
還付金の制度を装い、還付に必要な手続きを装ってATMを操作させる、還付金詐欺が横行しています。
相続税申告を済ませた後に、「還付金が戻ってくるので、ATMで振込口座を指定してほしい」といった内容の電話がかかってきたらご注意ください。

正式な相続税還付の手続きとは

正式な相続税還付は、税務署に更正の請求という手続きを踏みます。
更正の請求後、払い過ぎていた相続税があった場合は、還付金が税務署から振り込まれます。更正の請求で税務署に紙を提出する段階で、振込口座を指定しているため、ATMで振込口座を指定する操作などはありません。

当事務所の相続税還付サービスは、全国に無料出張調査を行い、還付の可能性を無料にて査定。還付の可能性があった場合には、税務署に更正の請求手続きを行います。
更正の請求手続き後、税務署に還付が認められなかった場合は、一切料金は発生しません。
詳しくは、相続税還付とはをご覧ください。

相続税の払い過ぎが起きていた実例が気になる方は、相続した土地を正しく評価するをご覧ください。

相続税申告で損しないために

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相続詐欺のまとめ

  • 相続で詐欺行為が判明したら、遺産分割協議の取り消しを通告する
  • 他の相続人や包括受遺者が取り消しに応じない場合は、裁判所に「遺産分割無効確認訴訟」を提起する
  • 詐欺行為に基づく意思表示の取消権は、5年が経過すると時効によって効力が消滅する
  • 一度遺産分割の意思表示を追認すると、その時点で取消権が消滅する
  • 相続した財産が(詐欺があったことを知らない)第三者に売却された場合、その財産は取り戻せない

この記事の監修者

顔写真:税理士 岡野 雄志

税理士岡野 雄志

相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。

相続税の無料相談受付中

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