「宅地の評価方法」とは?宅地の特徴によって計算方法は異なります。
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最終更新日 2023/04/12
「宅地の評価方法」について詳しくまとめています。
1.宅地の評価(奥行価格補正率)
1.1一方のみが路線に面する宅地の場合
宅地の一方のみが路線に面している場合、奥行距離に応じて奥行価格補正率を用いて算定します。
奥行き距離は、原則として、正面道路に対し垂直的な奥行距離によります。しかし土地がきれいな正方形でなく、奥行きが場所によってまちまちな場合には、平均的な奥行距離によって算定します。
正面路線価×奥行価格補正率×地籍=その土地の評価額
1.2奥行価格補正率について
奥行価格補正率は、奥行価格補正率表で確認することができます。補正率は、奥行距離と地区区分によって決まります。奥行距離が同じでも、地区区分が違えば補正率は変わります。
2.宅地の評価(側方路線影響加算率)
2.1角地の場合
宅地が正面と側方とで路線に接している、いわゆる角地の場合、評価額が加算されます。2つの道路に面しているということはつまり利便性が良いということなので、評価額も当然高くなるのです。
角地の評価額は、奥行価格補正率を用いた正面道路の価額に、奥行価格補正率、さらに側方路線影響加算率を用いた側方路線の価額を加算して算定します。
奥行距離は、原則として、正面道路に対し垂直的な奥行距離によります。しかし土地がきれいな正方形でなく、奥行が場所によってまちまちな場合には、平均的な奥行距離によって算定します。
B(側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率)
(A+B)×地積=その土地の評価額
2.2正面路線と側方路線について
正面路線は、実際の利用状況にかかわらず、単に「路線価×奥行価格補正率」で計算した価額の、より高い方の道路が正面道路になります。路線価の高い道路ではなく、奥行価格補正率を乗じて計算した価額であることに注意が必要です。
2.3角地の種類
側方路線加算率は、側方路線影響加算率で確認します。加算率には「角地の場合」と「準角地の場合」の2種類があります。I系統の道路が折れ曲がってその内側に土地が接している角地を「準角地」といいます。「角地」の方が「準角地」よりも利便性が良いと考えられるので、より高い評価額になります。
3.宅地の評価(二方路線影響加算率)
3.1二方の道路に挟まれている場合
宅地が正面と裏面とで路線に接している場合、評価額が加算されます。角地と同じく、利便性が良いと見なされるためです。
計算方法も側方路線影響加算率と似ています。奥行価格補正率を用いた正面路線の価額に、奥行価格補正率、さらに二方路線影響加算率を用いた裏面路線の価額を加算して算定します。
B(裏面路線価×裏面路線の奥行価格補正率×二方路線影響加算率)
(A+B)×地積=その土地の評価額
3.2正面路線と二方路線について
正面路線は、実際の利用状況にかかわらず、単に「路線価×奥行価格補正率」で計算した価額の、より高い方の道路が正面道路になります。裏面路線は、正面路線以外の、つまり「路線価×奥行価格補正率」で計算した価額のより低い方になります。
4.宅地の評価(間口狭小補正率)
4.1道路に接する間口が狭い場合
路線に接している宅地の間口が狭い場合、奥行価格補正率の価額に間口狭小補正率を乗じて算定します。
A×間口狭小補正率×地積=その土地の評価額
5.宅地の評価(奥行長大補正率)
5.1間口に比べて奥行が長すぎる場合
宅地の奥行が間口のわりに長すぎる、いわば「うなぎの寝床」のような地形である場合、奥行価格補正率の価額に奥行長大補正率を乗じて算定します。
A×奥行長大補正率×地積=その土地の評価額
6.宅地の評価(不整形地補正率)
6.1形状がいびつである場合
形がいびつな不整形地の場合は、奥行価格補正率、側方路線影響加算率、及び二方路線影響加算率を適用した後の価額に、その土地の形状に応じた不整形地補正率を乗じて算定します。
A×不整形地補正率×地積=その土地の評価額
手順1 地積区分を確認する
評価する不整形地の地区区分と地積区分を「地積区分表」に当てはめて、該当する地区区分を確認します。例えば、地区区分が「普通住宅区分」で地積が「100平方メートル」の場合、地積区分表の「A」に当てはまります。
手順2 かげ地割合を求める
かげ地とは、不整形地を評価するために用いられる考え方であり、日当たりの悪い土地のことではありません。不整形地を評価するためには、不整形地の全域を囲むように、正方形や長方形の「想定整形地」を取る必要があります。その矩形(想定整形地)から不整形地を除いた部分が、「かげ地」となるのです。このかげ地部分が大きくなればなるほど、評価額の減額も大きくなります。
かげ地割合の計算式は以下です。
かげ地割合=(想定整形地の地積-不整形地の地積)÷想定整形地の地積
手順3 不整形地補正率を求める
確認した地積区分と、かげ地割合を「不整形地補正率表」に当てはめて、不整形地補正率を求めます。例えば、地積区分が「A」で、かげ地割合が「50%」の場合、不整形地補正率は「0.79」になります。
7.宅地の評価(貸宅地)
7.1他人に貸している土地
他人に貸している土地を貸宅地と言い、自用地としての価額に(1-借地権割合)を乗じて計算します。自用地とは、他人に貸していない土地のことで、所有者本人が使っている土地や更地などがこれに当てはまります。
自用地の場合、倍率方式や路線価方式で評価した価額が、そのまま評価額になります。つまり路線価方式であれば、画地調整率等全て計算し終えたあとの価額です。この評価額に(1-借地権割合)をかけたものが、貸宅地の評価額です。地域によって異なりますが、貸宅地の評価額は、自用地の評価額の30%~40%程度です。
自用地としての評価額×(1-借地権割合)=その土地の評価額
借主側には借地権がある
貸主側は、他人に貸している土地を貸宅地として評価しますが、借主側にも「借地権」という権利があります。「借地権」とはその宅地を使う権利のことで、財産の一種ですから、評価をして相続財産に含める必要があります。
自用地としての評価額×借地権割合=その土地の評価額
8.宅地の評価(貸家建付地)
8.1賃貸物件の建っている土地
他人に貸している土地のことを貸宅地と言いますが、その土地の所有者が貸家やアパートなどを建て、その建物を賃貸し収益を得ているような場合は、貸家建付地として評価します。自用地としての評価額に、(1-借地権割合×借家権割合)を乗じて計算します。
借家権とは、家屋などの建物を借りて使用する権利のことです。借家権割合は現在、全国一律30%となっています。
8.1.1戸建ての貸家の場合
また、その土地に貸家に係る各独立部分がある場合、つまり賃貸アパートや賃貸マンションの敷地の場合は、さらに賃貸割合を乗じます。賃貸割合とは、簡単に言えば相続時点で部屋を貸し出していた割合のことです。全て満室であれば100%を乗じますが、空室があった場合は、その空室部分を差し引いた割合を乗じることになります。
例えば10部屋を貸し出していたとして、そのうちの3部屋が空室だった場合、10分の7を乗じることになり、結果的に満室時よりも割高な評価になってしまいます。
8.1.2賃貸アパートや賃貸マンションの場合
自用地としての評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=その土地の評価額
使用貸借について
親が所有している土地を子供が借りるケースなど、無償(つまりタダ)で土地を貸し借りすることを使用貸借といいます。借主には借地権や借家権という権利があります。しかし、使用貸借の場合は、無償での貸し借りということで、借主の権利(使用貸借という)は通常よりも弱いものになっています。借主を保護するための法律である、「借地借家法」の適用もありません。
また、地代の代わりに固定遺産税分を借主が支払う、というケースがあります。こういったケースは、金銭を支払っていても「使用貸借」になりますので、注意してください。
ただ、アパートの場合は、空室でもきちんと不動産会社が介入し、募集などもしているのであれば、3カ月くらいの空室は空室でないと認めてもらえます。もし空室期間が1年前後におよび場合は、税理士に相談しましょう。
一軒家の場合は、アパートと違い、退去していたら、期間を問わず空室とみなされます。
親名義の”土地を相続する手続き”。親子兄弟で揉めないために。
この記事の監修者
税理士岡野 雄志
相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。
相続税の無料相談受付中
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