「相続の発生時」
のことがわかる!記事

「相続税申告書の書き方」申告手順と、必要書類をご紹介!

相続の発生時

最終更新日 2023/04/12

相続税の申告義務は、確定申告と違い、突然発生します。相続税の申告義務が生じたら、相続税申告書に記載し納付しなければなりません。相続が発生してから10か月以内に申告書の提出と納付が義務付けられている相続税。この記事では、相続税申告書の書き方スケジュールについて解説します。

相続税申告書の書き方!申告書は3段階に分けて書く!

相続税申告書は3つの段階にわけて記載すると効率的です。

  1. 相続財産を把握
  2. 相続税を計算
  3. 控除を計算

申告書は第1表は最後に記載します。
表の説明にもあるように、第1表は最終的に相続する額や相続税の額を記入する、いわば「相続税の申告書」の本体。
したがって第2表以下すべてが、申告のために必要となる財産の計算書や明細書という構造になっています。

第2表以下の計算ができてようやく第1表を記入することができるという仕組みになっているのです。

煩雑な相続税申告書の手書き、無料ソフトで解決!

これまで見てきたように、相続税の申告は自力で行うにはなかなか骨折りであることも。当社では相続税の申告書の作成を「無料で」「自分で」できる、「ひとりで申告できるもん」というソフトをご用意しております。

無料ソフト「ひとりで申告できるもん」のできること

  • 相続税の計算
  • 相続税申告書の作成
  • 相続税申告書の印刷

この3つを無料で行っています。ソフトのダウンロードやパソコンへインストールすることなく、ホームページ上の案内に従って入力するだけで申告書が作成可能。気軽に利用できることから、本ソフトの利用者数は、2021年3月時点で3,000人を突破しています。

自力で無理な部分は相続専門の税理士へお任せ

自分で申告書の作成をしてみて初めて、どうしても自力では調べきれないものなどに出くわすことがあります。突然に発生する相続、発生してからわずか10か月の間にすべての相続財産を把握し、納税の義務を負うのは、相続人にとって非常に過酷なものと言えます。

8割が相続税過払いという現実

現在、相続税の申告の9割は税理士が行っており、申告のうちの8割が相続税の払い過ぎと言われています。税理士に申告を依頼した場合でも、相続税専門でなければ、相続税の過払いが発生する可能性があるのです。
実際、当事務所が、「他税理士が作成した相続税申告書を見なおした所、8割以上の申告書に相続税の過払い」がありました。

相続税の過払い額もお一人様当たり、数百万から数千万円。中には、2億円もの相続税を過払いしていた人もいます。

なぜ税理士が申告したにもかかわらず、相続税の過払いが発生するのでしょうか。
過払いになっていた多くの理由は、「土地評価額の誤り」です。

相続税の過払いになるメカニズムは、「相続税に強い税理士の選び方」依頼の必要性や比較ポイントを紹介で紹介しております。

相続税申告書の提出が必要な人とは?

相続や遺贈によって財産を取得した人(相続人)のうち、下記3項目の1つでも当てはまる人は、相続税申告書の提出が必要です。

  • すべての財産の合計額が、基礎控除額を超える場合
  • 相続時精算課税で被相続人(亡くなった方)から生前に贈与を受けた人
  • 配偶者の税額軽減、小規模宅地の特例など申告をすることで税額がゼロとなる人

相続時精算課税で、被相続人(亡くなった方)から生前に贈与を受けた人」は、相続で1円も相続しなかったとしても、相続税の申告が必要です。(ただし、相続時精算課税を適用して贈与された財産を、相続財産に加算しても基礎控除額を超えていない場合は、相続税申告の必要はありません。)

基礎控除額を超えているが、「配偶者の税額軽減、小規模宅地の特例」など、特別軽減措置の規定を使う事で、相続税額がゼロ円となる場合も、相続税の申告書の提出が必須となります。

相続税申告書記載の義務はあるのか、簡単チェック

相続税申告義務の有無の基準となるのが「基礎控除額」。
基礎控除額は
3,000万円+600万円×法定相続人の数
の計算式で求めることができます。この金額を1円でも超えるようなら申告が必要です。

相続税申告書の入手先は?

相続税の申告書は最寄りの税務署、または国税庁ホームページで入手可能です。e-Taxも令和元年分の申告から対応しています。
税理士事務所では、相続税申告専用のソフトを使用して、相続税申告書を作成するのが一般的です。

相続税申告書はどの年のものを使ったらいいの?

申告書は、相続が発生した年の分のものを使用します。ただ、年度が古い様式の相続税申告書に記載してしまったとしても、受領はしてもらえます。

相続税申告・納付の手続きの流れを見てみよう

人が亡くなって相続が発生してから10か月間、申告と納付手続きまでどのように計画していけばいいのでしょうか。申告・納付までの一連の手続きを、順を追って見てみましょう。
というのも、申告書自体は、記載内容がきちんと把握できていれば、1日かければ書けてしまえるものだからです。

市町村への届け出には期限があるほか、申告書に記載する事項に調査が必要なものもあります。

相続税申告までの手順や流れとタイムテーブル

スケジュール ToDoリスト 備考
死亡後~1週間 チェック市町村へ死亡届提出
チェック取引金融機関へ連絡
⇒取引金融機関へ連絡すると、取引ができなくなります。
死亡後~2カ月 チェック相続人と相続分の確定
チェック遺言書の確認(家探し・公証役場へ問合せなど)と検認手続き
チェック故人の戸籍情報入手
チェック遺産リストの作成
チェック故人宅の遺品探し
チェック取引金融機関のリストアップと残高照会(郵便物やPCメール等などから追っていく)
⇒死亡届の提出後、通夜・葬儀・香典返しの準備・49日法要などを考えると、この時期から相続の手続きができると予測しました。
⇒相続人と相続分の確定と遺産リストの作成に時間がかかるケースもあります。
死亡後~3カ月 チェック遺産継承の判断 ⇒相続の放棄や相続を限定承認する場合は、3カ月以内に故人の住所地の管轄裁判所に申し立てる必要があります。
死亡後~4~9カ月 チェック遺産分割協議書・遺言書
→遺言書がある場合
遺言書に基づき分割→遺言書がない場合
法定相続人全員で協議して決定
⇒遺言書がある場合は遺留分の侵害有無について確認が必要です。
⇒法定相続人にはおのおの法定相続分をもらう権利があるため、裁判所への調停・審判の選択肢もあります。
死亡後~10カ月 チェック相続税の申告・納付
→被相続人の住所地の管轄税務署へ提出(分割協議後遅滞なく行うこと)
チェック分割財産の名義変更
・不動産の相続登記
・金融資産
⇒申告期限は、死亡を知った次の日から10カ月以内です。
⇒一般的には相続人全員からの委任に基づき代表者が一時的に受領することもできます。

相続人によっては準確定申告や相続放棄、限定承認の申告が必要な人もいます。
さらに相続人と相続財産の確定、相続した財産をどのように分配するのかを話し合う遺産分割協議には、予想以上に時間がかかります。
これと同時進行で、相続税申告に必要な書類(申告書以外に戸籍謄本など)を入手し、相続税申告書や計算書、明細書の作成、管轄税務署に相続税申告書を提出と併せて、納税も必要です。

相続税申告書は15表もある!

相続税の申告書は第1表から第15表まであります。どのような申告書があるのか、どういうことを記載するのかを一覧表で見てみましょう。

申告書類と内容、申告書のほかに必要な書類 一覧表

表番号 内 容 詳 細 提出の要否※
第1表 課税価格、相続税額 誰がいくら納税するのかを記載するものですが、相続開始年月日(亡くなった日)、被相続人(亡くなった人)の氏名、生年月日、住所などははじめに書くことができます。
第2表 相続税の総額の計算書 相続税の総額を計算するもので、相続財産が確定すれば記入することができます。
第3表 農業を営む相続人がいる場合 相続人に農業相続人がいる場合、特例農地等については農業投資価格によって課税財産の価額を計算することになるため、被相続人から財産を取得したすべての人は本表で各人の税額を計算します。
第4表 相続税額の加算金額の計算書 相続税が2割増しになる人(亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となる場合や相続人ではない孫などが遺言によって財産をもらった場合)が財産をもらった場合に作成します。
第4表の2 暦年課税分の贈与税額控除額の計算書 第4表の2および第14表
第4表の2と第14表は、亡くなった日より前の3年以内に贈与があった場合に作成する書類です。
本表と第14表(純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額(以下省略)の明細書)は、基本的にはセットで必要になります。
ただし、亡くなった年にあった贈与については、贈与税はかからないので、亡くなった日の前3年以内に贈与があった場合でも、その贈与が亡くなった年だけなら、作成する必要はありません。
第5表 配偶者の税額軽減額の計算書 配偶者の税額軽減の規定を適用する場合、作成します。
第6表 未成年者控除額・障害者控除額の計算書 財産をもらった法定相続人が、未成年者や障害者に該当する場合に作成します。
現在の未成年者控除の規定では、相続人が満20歳になるまでの年数1年につき10万円が控除できます。
平成31年(令和元年)改正により、令和4年4月1日以降の相続・遺贈については、20歳から18歳に引き下げられます。
第7表 相次相続控除額の計算書 相次相続控除を受ける場合に作成します。
亡くなった人が亡くなる日より前の10年以内に、相続で財産を取得し、そのときに相続税を納めていた場合には、相続人のそれぞれの税額から控除ができます。
第8表 外国税額控除額など 外国税額控除等、納税猶予の適用を受ける場合などに作成します。
第9表 生命保険金などの明細書 死亡保険金は、法律上相続財産ではないものの、相続税の計算では相続財産とみなして計算に入れます。
本表で受け取った保険金と、非課税の金額の計算をし、課税される金額を算出します。
死亡保険金の受取人が相続人でない場合には、非課税の計算ができないので、明細書を作成する前に、契約内容をよく確認する必要があります。
第10表 退職手当金などの明細書 死亡退職金を受け取った場合に作成します。
本表では、支給を受けた死亡退職金と非課税の金額の計算をし、課税される金額を算出します。
第11表 相続税がかかる財産の明細書 相続財産を記載する明細書で、亡くなった人のもっていた財産の明細を記載します。
本表は、第15表に集計していくので、第15表に集計しやすい順番で記入するといいでしょう。具体的には、土地⇒家屋⇒有価証券⇒現金・預貯金といった順番です。
なお、土地については小規模宅地等の特例を適用した後の減額後の金額を記載します。
第11・11の2表の付表1および別表 小規模宅地等の特例、特定計画山林の特例などについて 土地の評価明細書などで土地の評価額を計算したあとに、小規模宅地等の特例の減額規定を受ける場合に作成します。
第12表 農地の納税猶予適用など 農地等について、相続税の猶予措置の適用を受ける時に記載します。
第13表 債務および葬式費用の明細書 亡くなった人の債務と葬式費用を記入する明細書のこと。一定の債務や費用については、いずれも財産の金額から控除することができます。このほか、亡くなった人が、生前に支払っていなかったものは、債務として財産の金額から引くことができます。具体的には、固定資産税、住民税、医療費、借入金などのうち、亡くなった時点で未払いだったものです。生前にすでに支払っているものは、控除できる債務には入らず、墓地の購入や法事の費用などは対象となりません。
第14表 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額(以下省略)の明細書 亡くなった日より前の3年以内に贈与があった場合に作成します。
本表と第4表の2(暦年課税分の贈与税額控除額の計算書)は、基本的にはセットで必要になります。
ただし、亡くなった年にあった贈与については、贈与税はかからないので、亡くなった日の前の3年以内に贈与があった場合でも、その贈与が亡くなった年だけなら、第4表の2は必要ありません。
第15表 相続財産の種類別価額表 財産と債務を種類別に集計します。ここまで作成してきた第11表や第13表などで集計したものを、種類別に記入していきます。

※絶対に提出が必要なものは◎、場合によって提出が必要なものは〇としています。

これらは国税庁ホームページ「相続税の申告書等の様式一覧(令和元年分用)」に詳しく掲載されています。また、これらの申告書等は、平成31年1月1日から令和元年12月31までの間に発生した相続税の申告に使用します。

さらに申告書を提出するには添付書類が必要です。添付書類とは、「申告書や、評価明細書に記載した数字の理由を明確にするために、申告書に添付して提出する書類」のこと。

必要な添付書類は各人の遺産内容によって異なります。それらのほとんどは自力で用意することができます。詳しくは、相続税申告の際の必要書類をご参照してください。
各表の書き方は、国税庁ホームページ「相続税の申告のしかた(平成30年分用)」に相続税の申告書の記載例が詳しく書かれているほか、申告に必要な書類の抜け漏れがないように、「相続税の申告のためのチェックシート」も設けています。

この記事の監修者

顔写真:税理士 岡野 雄志

税理士岡野 雄志

相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。

相続税の無料相談受付中

写真:岡野雄志税理士事務所

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