「相続税申告の必要書類」原本で提出するものコピーでいいもの
相続の発生時
最終更新日 2023/04/12
そこでこの記事では、「相続税申告に必要となる書類は原本?コピー?」をはじめ、「提出した原本は返却してもらえるの?」といった疑問をわかりやすく解説していきます。
原本で提出しなければならない必要書類は??
結論から申しますと、相続税の申告書に添付する必要書類の中で、原本で提出しなければならない書類は「印鑑証明のみ」です。
厳密には、必ず原本で提出しなければならない書類は「印鑑証明」であり、その他複数の書類に関しては原本でもコピーでも構わないということです。
また、2018(平成30)年3月まで原本提出とされていた戸籍謄本は、2018(平成30)年度の税制改正により2018年4月1日以降、複写(コピー)でもよいことになりました。
相続人が複数いる場合、遺産分割協議書を作成しますが、その際に相続人全員分の印鑑証明を提出します。自分以外の相続人に印鑑証明の提出を依頼するときは、「印鑑証明は原本での提出であること」の旨を伝えるようにしましょう。
相続税の申告書に添付する必要書類の中で、必ず原本で提出する書類は「印鑑証明のみ」である
原本でもコピーでもOKな書類は??
相続税を申告する際に必要となってくる書類はおおまかに分けると以下の通りです。
- 身分証明関係の書類(全員提出必須書類)
- 不動産関係の書類(個々の相続内容で提出書類が異なる)
- 金融関係の書類(個々の相続内容で提出書類が異なる)
- 保険全般関係の書類(個々の相続内容で提出書類が異なる)
- 債務、葬儀関係の書類(個々の相続内容で提出書類が異なる)
このように、申告書に添付する書類は個々の相続内容によって異なりますので、ここではすべての方が添付しなければならない【身分証明関係の書類】の中から、原本提出でもコピー提出でもOKな書類をご紹介します。
相続税申告必要書類(身分関係)で原本提出コピー提出可なもの、不可なもの
- マイナンバーカード【可】
- 被相続人の除籍・改製原戸籍謄本【可】
- 被相続人の住民票の除票【可】
- 相続人の戸籍謄本【可】
- 相続人の戸籍の附票【可】
- 相続人の印鑑証明書(原本)【否】
- 遺産分割協議書【可】
- 法定相続情報一覧図【可】
遺産分割協議をしていない場合、遺産分割協議書と印鑑証明書は不要
この中で原本提出でもコピー提出でも可能な書類は、戸籍書類、住民票、遺産分割協議書、法定相続情報一覧図です。
法定相続情報一覧図とは
被相続人の相続関係を図式化したものを、法務局の登記官が認証した書類です。
これまで相続税申告の際に戸籍謄本を添付してきましたが、2018(平成30)年4月1日以降、戸籍謄本に代わって法定相続情報一覧図の提出でも可能となりました。
この法定相続情報一覧図は管轄の法務局にて取得できます。またこのとき取り寄せる法定相続情報一覧図の形式ですが、相続税申告書に添付する場合は図形式のものと定められています。
法定相続情報一覧図を取得の際には、相続税申告書に添付する旨を伝え、図形式のものを取得しましょう。
相続税の申告で一度税務署に提出した書類は返却されません。
そのことをふまえた上で、原本提出かコピー提出かを選択しましょう。
戸籍書類や遺産分割協議書などは原本でもコピーでも提出できるが、税務署に提出した書類は返却されないため、よく考慮した上で提出方法を選択すること。
コピーで提出したほうが望ましい書類は??
ここまで相続税申告の添付書類について「必ず原本で提出する書類」「原本でもコピーでもOKな書類」をご紹介してきました。
その際に、税務署に提出した書類は返却されないため、よく考慮した上で書類の提出をするようお伝えしてきました。では、実際にどの書類をコピーで提出したらよいのでしょうか。
そこで、この項では「コピーで提出したほうが望ましい書類」としてマイナンバーカードと遺産分割協議書をご紹介します。
マイナンバーカードはコピーを提出
マイナンバーカードは相続税の申告書に記載されている個人番号が、本人のものであるかを確認する際に必要になります。
マイナンバーカードは相続税申告時以外の、その他の行政手続きでも必要とされる場面があります。また、一人につき一通しか発行されてないので原本は手元で大切に保管しておき、コピーをして提出しましょう。
相続税の申告の際にマイナンバーカードを提出しなければならない人は、財産を取得した相続人全員ですです。
カードの表と裏を確認するので、両面をコピーして提出しましょう。
また、マイナンバーカードを発行していない方は通知カードと身元確認書類の2点を提出することになっています。
通知カードに記載されている氏名、住所などが住民票に記載されているものと一致しているか確認する必要があるので、通知カードを利用して提出する際には住民票も一緒に添付しましょう。
身元確認書類については、運転免許証、パスポート、公的医療保険の被保険証、身体障害者手帳などがあります。
遺産分割協議書はコピーで提出した方が望ましい
遺産分割協議書に関しては、不動産の相続登記手続きや、金融機関での手続きの際に原本を必要とする場面が出てきますので、相続税の申告に添付する遺産分割協議書はコピーで提出したほうが望ましいです。
その他の必要書類
相続税の申告書に添付する書類は個々の相続の内容によって異なってきますが、その書類の中にもコピーで提出したほうがよいとされるものはいくつかあります。
例えば、遺言書があるケースではその遺言書も提出しなければなりません。その際に原本で提出してしまった場合、税務署に提出した書類は返却されないので手元から原本がなくなってしまいます。のちに遺言書が必要な場面が出てくるケースもあるので、原本は手元に保管しておき、コピーをして提出することが望ましいでしょう。
このように、書類の種類によっては原本を手元においておくことが望ましいこともあるので、相続税申告の際に提出する必要書類はコピー提出を上手に活用して提出するといいでしょう。
・手元保管が望ましい書類、他の手続きで原本を使用する予定がある書類、のちに利用するかもしれないと予想される書類は、原本で提出せず、コピー提出を活用するとよい。
原本還付について
相続税申告の際、必要となる書類の中に「不動産関係の書類」があります。
これは、被相続人の不動産を引き継ぐ際に不動産の名義変更を行いますが、その手続きに必要となってくる書類です。
この名義変更の一連の手続きを相続登記とよびますが、相続登記を申請するときにも戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、遺産分割協議書などの原本を法務局に提出します。
この手続きで提出した原本書類を返却してもらうことを【原本還付】といいます。
原本還付のメリット
原則、法務局に提出した書類は返却されないこととなっていますが、原本還付の手続きを利用することで、その返却された原本書類を他の行政手続きに使い回すことができます。
よって、他の行政手続きが発生した場合、原本書類の取得のために何度も自治体に出向く手間がはぶけるというメリットがあります。
また、原本を取得するときにはその都度手数料がかかりますが、返却された原本書類を利用すれば手数料というコストも最小限に抑えることができます。
原本還付してもらえる書類
- 戸籍謄本
- 戸籍の附票
- 住民票
- 遺産分割協議書
- 印鑑証明書
- 固定資産評価証明書など
原本還付してもらえない書類
・相続登記の手続きを委任する際に作成した委任状など、相続登記のためだけに作成した書類に関しては返却されません。
原本還付の手続方法
原本還付の手続きをする場所:管轄の法務局
原本還付の手続き方法
- 返却してもらいたい書類をコピーする。
- コピーした書類の余白に「原本と相違ありません」と記入し、申請する人の署名捺印をします。
- 登記申請書や各種原本と併せて提出します。
- 原本が返却されるのは、登記が完了してからなので1週間~10日ほどしてから受け取りにいきましょう。
※コピーした書類が複数ある場合は、書類をホチキスで本のようにひとつにまとめ、一枚目の余白に「原本と相違ありません」と記入し、申請する人の署名捺印をします。
※書類が複数の場合は、一枚目に押した印鑑と同じ印鑑を使って、すべてのページに契印します。
※郵送で登記申請した場合は、還付返却用の返信封筒を同封します。
※還付される原本が入る大きさの封筒に切手を貼り、申請人の住所・氏名を記入しておきます。
※申請情報その他の事項欄、または、適宜の箇所に「送付の方法により~」と記載します。(記載例;送付の方法により登記識別情報通知書の交付を希望します。送付先の区分→(例)申請人である法人の事務所)
相続関係説明図を利用して戸籍書類を返却してもらう方法
相続関係説明図とは
被相続人の相続人が誰であるかを分かりやすく図式化したもので、これを提出することで
他の書類のようにコピーをしなくても戸籍書類の原本を返却してもらうことができます。
相続人が複数いる場合など、添付する戸籍謄本の枚数が多くなるので、戸籍関係の原本書類を返却してもらいたいときは、相続関係図を利用したほうがスムーズです。
この原本還付とは、相続登記の際に法務局に提出する書類を返却してもらう制度です。
税務署に提出した申告書の添付書類は返却されないのでお間違いのないようご注意ください。
さいごに
このページではおもに、相続税申告の際、必要とされる書類の中には、原本で提出するもの・コピーで提出するものがあることをお伝えしてきました。
原本提出を求められていない書類はコピーでも構いませんが、書類の内容や目的に応じて原本を手元に保管することが望ましいとされる書類もあります。
いずれも重要な書類にかわりありませんから、どちらで提出すべきか悩んだときは、その都度相談問い合わせをして解決していくことをおすすめします。
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この記事の監修者
税理士岡野 雄志
相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。
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