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相続放棄とは?手続き必要書類、デメリット、期限延長方法!

相続の発生時

最終更新日 2023/04/12

相続放棄と財産放棄はまったく内容が異なります。また遺産相続放棄するには一定の手続きが必要です。遺産相続を放棄してよい場合とはどんな時か、どのような手続きが必要かを説明します。

ローンや借金など、いわゆる負の遺産と言われるもの―――故人がこの世に残した遺産の一つです。それも含めて故人の財産を「受け取る、受け取らない」を、相続人は選ぶことができます。

遺産を受け取らない、つまり財産を放棄するには所定の手続きが必要です。どんな手続きが必要なのか、放棄によってどんなことが生じるのかを見ていきましょう。

相続放棄と財産放棄の違い

遺産放棄
「相続放棄」と「財産(遺産)放棄」は非常に似ているようで、実は明確に異なります。まずその違いを理解しましょう。

相続放棄とは?

相続放棄は、故人の遺産を含めて一切の相続の権利を放棄することを指します。相続放棄するには、裁判所に書類の提出をして、「相続しない」ことを申し出て、認めてもらう手続きが必要です。

相続放棄でできること

相続放棄が認められると、相続人ではなくなるので、故人の遺産を一切受け取ることがないので、当然、借金やローンなど、負債を問われることはありません。また、相続人ではなくなるので遺産分割協議に出席する必要もなくなります。

相続を知ってから3か月の期間で相続放棄の手続きをする必要があり、その間に遺産をつまびらかにすることが迫られるのでなかなか忙しいというのが実情です。

相続放棄の注意点1:借金などのマイナス財産だけでなく、プラスの財産も受け取れなくなる

相続放棄すると、プラスの遺産、マイナスの遺産を問わず、一切受け取れなくなってしまうので、借金を上回る財産があった場合でも、それらを放棄することになってしまいます。

それは、後世に遺産を託し、上手に活用してもらうという故人の遺志に反することになることもあるかもしれませんね。

相続放棄の注意点2:二転、三転する相続人

相続放棄をすると、相続人の資格をほかの誰かに譲るということになります。相続人が決まらないと遺産分割協議などが始められないためです。相続放棄が繰り返されると、相続人が二転、三転する、もしくは相続人がぞろぞろ名を連ねるという厄介な状態になりかねません。

財産放棄とは?

一方、故人が残した財産=遺産を、受け継がないとするのが財産放棄の基本的な姿勢です。遺言書などがない場合、遺産相続は相続人全員で「遺産分割協議」を行って、各相続人の相続分を決めていくのが基本。

この時、「法定相続分」に則って、相続順位と相続分を決めていくのが一般的です。その相続人となった場合、財産放棄は、相続人でいる立場は保持しつつ、遺産に対して受け取る、受け取らないを、あくまでも遺産分割協議で決めることができます。

財産放棄でできること

例えば、故人が残した借金。額もさることながら、相続人にとっては、自分がかぶる必要があるのか、と思うのも当然と言えます。そこで、相続人は、「その遺産はいりません」と述べ、遺産分割協議でそのことが認められると財産放棄となります。

実は財産放棄は、法律上では相続権を放棄したことにはなっていないので、放棄を宣言した相続人でも「この遺産だけは欲しい」という希望を述べることは可能です。したがって、故人の負債を拒否しても、一定の財産を手にする可能性があるといえます。

例えば、故人が高価な時計を遺していたとします。「それは相続したい」と、先ほど借金を財産放棄した相続人が述べたとしましょう。これも遺産分割協議で話し合い、ともすれば認められることがあるかもしれません。

財産放棄の注意点:財産放棄しても、借金取りからは免れない?

財産放棄では、遺産を放棄することはできるけれど、債務が伴う遺産の場合、債権者からの債務の要求、つまり取り立てなどからは免れることができません。借金があれば返済しなければならないのは自明の理。それを建前に債務を要求してくるのですから拒みようがありません。

財産放棄と相続放棄の違いメリットデメリット一覧表

財産(遺産)放棄 相続放棄
定義 財産放棄は遺産分割協議で特定の相続人に財産を譲る行為 (民法第939条)にあるとおり、裁判所を介して所定の手続きを行い、正式に財産を放棄する行為
相続権 選ぶことができる なし
故人の債務 免れられない可能性がある 免れる
メリット ・相続財産を一部要求することができる ・明らかな負債を含め、連帯保証人など、わかりにくい負債などからも免れることができる
・事業承継など、遺産を特定の相続人にすべて承継させることができる
デメリット ・連帯保証人など、負債から完全に免れることができない可能性がある ・一切の財産を受け取ることができない
・遺産の一部を処分したりしていると、放棄が認められない

 

相続放棄するのはこんな時

相続放棄する場合は、次のような場合です。

  • 明らかに負債などのマイナスの財産がプラスの財産を上回るとき
  • 連帯保証人など、故人の保証債務が明らかになっていないとき
  • プラスの財産が巨額ではないとき
  • 自分の権利をほかの相続人に譲りたいとき
  • 遺産を巡るごたごたに一切かかわりたくないとき

相続放棄は3か月以内に手続きが必要です。
プラスの財産とマイナスの財産が判然としない場合は、遺産を限定承認するのが効果的。プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことができるからです。

限定承認の条件は?認められないことある?

すべてを相続する「単純承認」、すべてを相続しないのが「相続放棄」。「限定承認」は、その中間的な手続きのこと。プラスの財産の範囲内でマイナス分も引き継げるとあって、非常に便利そうな手続きですが、承認には次の条件が必要です。

  • 相続開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要がある
  • 法定相続人が複数いる場合、相続人全員で共同して申述を行わなければならない

つまり、相続人のうち1人でも限定承認に反対した場合、限定承認を行うことは不可能なので、なかなか実行されないのが現実なのです。

相続放棄と限定承認手続き時の必要書類は?

相続放棄 限定承認
申立先 家庭裁判所※1
申述期間 3か月以内※2
申立方法 単独 相続人全員
申述書 こちら
20歳以上の場合の記述例
20歳未満の場合の記述例
こちら
記述例
事件名に「相続の限定承認」と記載
必要書類※3 ・被相続人の住民票除票または戸籍附票
・申立人の戸籍謄本
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の住民票除票または戸籍附票
・申述人全員の戸籍謄本
費用 ・収入印紙:800円
・連絡用郵便切手代※4

※1被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に持参または郵送でも受け付けてくれます。
※2この期間を熟慮期間といいます。いずれも相続人が相続の発生を知ってから3か月以内となります。期間内に手続きしないと、どちらも自動的に全部承認したと考慮されます。
※3共通して必要な書類は表に記載しているものですが、故人と相続人の関係の違いによっては提出書類が異なるので注意が必要です。
※4裁判所によって金額が異なります。

それでも決断できない……そんな時は期間を延長しよう

3か月の熟慮期間にも相続放棄の判断ができない場合は、期間を延長することもできます。こちらも、「相続の承認または放棄の期間の伸長」を、申立書と添付資料を添えて家庭裁判所に申し立てる必要があります。

申立書には、期間内に放棄を判断できない理由や、延長が必要な期間を記載するなど、手続きが必要なうえ、裁判所の判断を待たなければなりません。この手続きには申立人の戸籍など、放棄の手続きと同じ添付資料が必要なため、時間がかかることもおぼえておきましょう。

相続放棄と限定承認、専門家の手を借りずにできる?

相続放棄と限定承認は司法書士や弁護士など、専門家の手を借りずにできないこともないでしょう。

が、申述書に添付する関係書類をそろえるのだけでもかなりの労力を必要とします。また遺産の正確な把握ができていれば話は早いのですが、相続するかしないかの決断を下すまでのタイムリミットは相続が開始してから3か月、さらに相続税の申告と支払いは相続開始から10か月以内に決めなくてはいけないため、そのスケジュール感はジェットコースター並み。専門家に頼らずにやるとなるとかなり大変な部分もあるため、注意が必要です。

なぜなら、申立書類の欠損で受理してもらえないことはおろか、申立そのものができない条件下に申立人にある場合などがあるからです。こうした判断は当事者となるとなかなか見えてこないこともあります。

相続放棄が受理されないことがある?

相続放棄が受理されない場合は次のとおりです。

  • 相続人が相続放棄を家裁に申述していない
  • 相続放棄の申述が熟慮期間内を超えている
  • 申述に必要な書類が不足している
  • 相続人が相続財産の一部でも処分をしてしまった

相続財産の一部を処分というのは、例えば“遺産を使い込んだ”、“相続財産を捨てた”、“故意に相続財産を破壊した”、“家の改築など相続財産を不必要に改修した”、“相続財産を他者に譲り渡した”、“相続財産の名義を変更してしまった”、“故人の口座を払い戻して自分の口座に入れた”などが当たります。

つまり相続放棄・限定承認が申請できるのは、相続人でかつ相続財産に手を付けていない人に限られるのです。

相続放棄 まとめ

そもそも論ですが、相続放棄は相続が開始される前にはできません。なぜなら相続放棄は法的に相続しないことを認定する法的手続きだからです。
相続放棄すれば、故人の負の遺産(債務)を引き継がないで済みます。しかし、相続権の移譲によって、新たに相続人となった人に負債などが降りかかることにもなりかねません。それも含めて相続放棄は慎重に行う必要があるのです。

相続放棄を行うにしても、まずは正確な相続内容を把握することから始まります。正確な相続内容の把握は、相続税に強い税理士に任せることをお勧めします。当事務所は、弁護士や司法書士の紹介が可能です。相続税申告手続きがある場合、弁護士や司法書士と連携しながらスムーズに対応できます。お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

顔写真:税理士 岡野 雄志

税理士岡野 雄志

相続税専門の税理士事務所代表として累計2,542件の相続税の契約実績。
専門書の執筆や取材実績多数あり。

相続税の無料相談受付中

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